夏旅(1)いざ広島 

出発前日 夜
仕事を終え一旦家に帰る。そのまま広島へ向かいたかったが、その夜、バイクの買取業者を呼んでいたから仕方がなかった。20代前半の移動手段はもっぱらバイクだった。色んな人と色んな所へ行った思い入れがあるバイクだったが、車に乗り始めてからほったらかしになっていて、ついに手放すことにした。
長年メンテナンスもしなかったバイクは、1円も値段がつかなかったが、トラックに載せられるのを見るとなんとも言えない気持ちになった。
バイク屋が言った。
「思い入れのあるバイクでしょうけど、絶対にまた他の方に乗っていただけるようにしますので」 決り文句だろうが、泣かすでない、バイク屋。

近所のダイソーへ行き、耳栓と歯ブラシ購入。寝袋、着替え、CD、あれこれ準備をしている間に22:00。
さて、そろそろ出ようかと思ったが財布が無いことに気づく。

・・・無い。無い。無い。ひょっとしてダイソーで落とした?
もう店は閉まっているし、財布が無ければどうしようもない。今日は出発できないのか・・・と必死で探して1時間後、車の座席の下でブツ発見。。
いいのかこんなんでいいのか。20代最後の夜がこんなんでいいのか。
そう、あと1時間で三十路へ突入。

1日目
京都を走っているところで誕生日を迎える。
滋賀から広島まで400km。しかも下道だから徹夜で走らなければ朝までに着かない。
9号、372号線を使って姫路へ、大阪と神戸を回避できるルート。姫路からはひたすら2号線。一部を除いてバイパス化しているので、結構速い。
5時半頃、尾道に着きダウン。パーキングで二時間仮眠。
車の助手席を倒してフラットにし、耳栓とアイマスクで熟睡。結構寝れた。

10時頃広島入り。今日、明日はアニメ三昧になる予定。
広島国際アニメーションフェスティバルが今日から5日間にわたって開催されるのだ。このフェスは二年に1回行われる映画祭で、初めていったのは4年前の2002年だった。
そこで、僕は川本喜八郎氏のDVDを買い、サインをもらった。DVDプレイヤーは持っていなかったがそれが買うきっかけになった。そして、フェレンク・カーコの砂のアニメーションは今でも忘れないほどの素晴らしいパフォーマンスだった。
2年前は行けなかったので、今年はすごく楽しみにしていた。

会場近くの駐車場を探したが、会場に駐車場があったのでそこに入れる。今回は無料だったが、10月から有料になるとか。助かった。
11時から最初の上映を見る。売店でおにぎりを買い昼からは「ルネ・ラルー回顧特集」。「ルネ・ラルーのインタビュー」までは起きていたが「ファンタスティックプラネット」で寝てしまう。会場から出ると、同じ職場のアニメーターに声をかけられる。寝不足の僕と違いテンションが高い。僕も前日から入りたかった。。

そして「死者の書」。川本さんが舞台挨拶に来られていた。二回目だから前より理解できた。やはり感動した。
そして18時からコンペティション。53作品から優秀な作品を選ぶのだが、7本中5本がつまらない。途中退出する。

近くの讃岐うどん屋で飯を食い、さて、とりあえず風呂を探さねば。この旅のために買ったと言ってもいいカーナビが役立つ。近くの銭湯に入り、今度は寝床を探す。高速料金もケチるくらいだ、ホテルなどに泊まる金はない。一時間走り回ったがいい場所が無く、結局平和記念公園近くの駐車場へ。夜間無料なのでありがたい。
ビール買って女子バレー見ながら就寝。三十路、車で寝る。