ウカタマ!

ある意味トラウマ「米倉斉加年」 

米倉斉加年は「よねくらまさかね」と読む。

変わった名だが、僕がこの名前を初めて記憶したのは意外と早い。小学校の頃(中学かもしれん)学校で授業の一環として見た「ムッちゃんの詩」という映画である。
この映画は、戦時下の庶民の不幸を描いたもので、登場人物の少女は疎開先で結核に冒され、やがて死んでしまうという、どうにもこうにもな映画である。
ストーリーは最近ネットで調べるまで全く記憶していなかったが、僕は当時見終わった後、周りで泣いている女の子達を小馬鹿にしながら、俺は感動なんかしちゃいねーぜ的なニュアンスをかもし出す事に精一杯だった事を覚えている。
なぜなら、非常に感動したからである。

僕は家に帰って布団にくるまり、学校で泣かなかった分、大号泣した。
小学校の多感な時期に戦時下の悲惨な体験を聞かされ、戦争なんてクソだ!っていう純粋な反戦っ子が誕生した瞬間である。大人になってからは、そんな短絡的な事も言わないようになったが。
ちなみに、それ以前に見ていた「はだしのゲン」は僕にはホラー映画にしか見えず、感動すらなかったので、それはもうすごい衝撃だったに違いない。

映画では、金さんという朝鮮人の兵士が出ていた。金さんは異常に優しかった記憶がある。僕は金さんのカッコよさに惚れてしまい、映画のエンドロールで、金さん役の人の名前を目を凝らして探した。
それが米倉斉加年という名前だった(その当時は読めず)。

彼はあまりよくTVなどに出ている俳優ではないので、その後僕は全く彼の名前も忘れ、作品にも出会わなかった。
しかし6年ほど前、米倉斉加年という名前を友人宅で見て驚いた。その米倉斉加年という人は画家だった。そして、その人が描いた画集を見てさらに驚いた。
小学校の教科書の挿絵で、「嫌いではないのだが、なんか目を背けたくなるようなむずがゆい絵」だと僕が思った人の絵だった。水彩やクロッキーで描かれたこどもの顔は、ほっぺたもふっくらとして、愛らしいのだが、時として黒目が塗りつぶされず白かったりするので、少し不気味にも見える。僕にとっては、この絵は一種のトラウマの一つである。
絵を見たら、ああこの人か、という人は僕以外にも多いのではないだろうか。

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そしてこれは4年ほど前か、TVでワイドショーを見ていたら、米倉さんは金に困ってるという内容のニュースをやっていた(なんじゃそりゃ)。
現在も絵に芝居にと活動中であるらしい。

そしてそして、つい数ヶ月前、古本屋である絵本を買った。
「多毛留」というタイトルのその絵本は、米倉斉加年原作・絵で、内容は漁村に住む男と、海に渡りついたある女とその子の話。
77年の作品なので、絵はどこかサイケデリック調でもある。
語り口が、彼の故郷である九州のおばあちゃん口調で、味わい深い。いい絵本だと思う。

役者として、さらに画家としても僕の幼い記憶の深いところにいる人。彼の作品をもっと見たい。

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まさかね見世

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