チェコ旅行記(2)~墓地教会(コストニツェ)にてばちあたり
- 2004/10/02
- 14:51
帰国して旅行記になかなか着手できなかった理由の一つはカメラである。
僕は旅行に一眼レフと、SMENAというロシア製のカメラ(見た目はおもちゃだけどすごくキレイに写る)を持っていった。フィルムは30本ほど。デジカメは無い。
つまり、現像したあと、スキャナで取り込み加工してという作業がすごく面倒だったのだ(小声)。未だに資金が無くてプリントしてないフィルムもある。
この旅は写真旅行でもあったのだ。一眼レフは重かったが、デジカメよりもおもしろい写真が撮れるので絶対持っていきたかった。そして、毎日のように携帯して写真を撮っていた。
チェコに来て一番見たかったものの一つが「コストニツェ(Kostnici)」。日本では「墓地教会」と呼ばれている。なんだ墓地教会って?って思った方、いいリアクションだねえ。もうちょっと待ってね。
++
首都プラハから列車で約55分。コリーン経由でクトナー・ホラという駅で下車。ちなみに、クトナー・ホラ駅は二つあり、一つはクトナー・ホラ・フラヴニー(Kutna hora hl)駅、そしてクトナー・ホラ・ムニュエスト駅である(※注1)。
コストニツェが近いのはフラヴニー駅の方。もう一方の駅は、クトナーホラもう一つの名所聖バルバラ大聖堂が近いらしいが、それは見てない(普通はそっち行くのかもしれん)。
駅を出るととすぐに案内版があり、それをたどって行くと見事に迷わずコストニツェにまで誘導してくれた。普通の町並みに現れたスッと立っているこじんまりとした教会。教会の周りは墓地でぐるりと囲まれている。え?だから墓地教会?甘い。入ろうとすると、ちょうど団体が入るとこだったので、時間をずらす事にした。
町並みを散歩する。クトナー・ホラはちょっと最近がんばってる田舎町と行った感じ。森や原っぱが多く町並みは普通のかわいい田舎の家だが、ちょっと外れると、でかいスーパーもあるし、道路も発達している。音楽ガンガンかけながら家建ててる大工さん。静かな町なのでよけいうるさい。歩いていると裏手にはサッカーグラウンド。あいにく誰もいなかったが、土手の芝生に座ってくつろぐ。それにしても今日はいい天気だ。
スッキリしたところで、そろそろいいかなと思い、教会の方に戻る。教会の向かいは売店&レストランだが、そんなに入りたくなる感じではない。勝手に敷地内に入ってブラブラしてると、すごく朽ち欠けている物置小屋。味出まくり。うおおお写真とりたい。でもまあ、今日はフィルム二本しか持ってないし、教会のあとで写真とればいいか。。。と思ったのがこの日の過ちであった。
墓地の間を通り、いざ教会内部へ。値段は30ck(チェコ・コルナ。約120円)そして、写真をとるには別料金を払わなければならない。15ck(約60円)。
受付はおばちゃんと、高校生くらいの女の子。英語を喋る客にはこの女の子が応対する。たぶんおばちゃんが英語できないから助っ人なのだろう。「あなたは中国人?」と聞かれたので、日本人だと答えると、日本語で書かれた手作りの案内をくれる。びっくりした。チェコで日本語など、日本料理屋以外で見てなかったからだ。どの名所も英語かスペイン語の案内どまりであったし、この小さな名所がそんなサービスしてくれるとは。しかもその文章が非常にきれいな日本語だったのにも驚いた。
++
ヒンヤリとした空気に暗い照明。階段を降りるうちに、僕の感動は頂点に達した。
骨・骨・骨!英語でいうとボーン・ボーン・ボーン!中国人がみたらコツ・コツ・コツ!である。

【写真:人骨鐘】
この教会の内部には、大量の人間の骨を集めて作られたオブジェが、壁から天井からいたるところに見事に飾られているのである。その数約40万本(4万人分だったかもしれん)。骨で作られた鐘、骨で作られた燭台、骨で作られた紋章、、、そしてそして、骨で作られたシャンデリア。。。

【写真:人骨シャンデリア】
不思議と怖くない。怖くないが、なんというか圧巻である。僕も写真ではずっと知っていたが実際にこの目で見てみるとニンともカンとも。こんなに大量の人間の骨が墓地に埋葬されずにオブジェとなっているのだ。いや、こうすることがある意味埋葬なのかもしれない。生きている人間に何かメッセージを送っているような気がする。これらの骨は、戦争や疫病で大量に死んだ人の骨も含まれているという。16世紀初頭、初めてこの骨を組み立てた僧侶の言葉が頭をよぎる。「MEMENTO MORI (死を思え)」
僕は30分ほど骨の一部一部を眺め、ようやくカメラに収めたい気持ちになった。
窓からの自然光を入れて、露光時間を長めにすればノンフラッシュでいい感じで撮れそうである。1枚、2枚と撮っていく。
さあ、5枚目を取ろうと思った瞬間。
「・・・」
カメラ沈黙。僕も沈黙。
おかしい。シャッターが下りない。電源はついたまま。でも電源が切れない。ウンともスンとも言わない。
ウンウン言ってるのは僕だけである。電源はついたままで完全にカメラが動かなくなってしまった。。。
電池が切れたのかもしれない → 全くまだまだ使える電池だった
電源ついたままで切れない → 電池切れたんなら電源切れるやろ
フィルムが無くなった → あと10枚は撮れる
カメラが壊れた → うそん。マジ?
バチがあたったのかもしれない → そうかもしれない。。。
実はさっき教会裏のサッカーグラウンドで急にもよおしてしまい、土手でタチチョンをしたのだ。。。
絶対それが悪かったに違いない(気づかなかった君は、教会に戻る時のシーンをもう一度見てみよう!)。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいと心で謝りながら僕は教会を出た。
プラハに帰るとまだ4時くらいだった。結局とれた写真は4枚。まあ目に焼きつけたし、またチェコに来た時に必ず行こう。今日はもうおとなしくしてようと宿に帰り、ふと思い立ってカメラの電池を新品に換えた。動き出した。。。
いや、本当にまだまだ使える電池だったのよ。。。
※注1
チェコの鉄道の駅は、同じ名前のあとに「ほにゃらら」がつく事が多い。
例えば、首都プラハと名前がつく駅だけでも「プラハ・フラヴニー」「プラハ・ホレショヴィツェ」「プラハ・マサリコフォ」などとめちゃくちゃある。他の国から電車で来る時や、行く時はその方面によって発着する駅が違うので注意。
フラヴニーとは「中心の」という意味で、「歩き方」などには「クトナー・ホラ本駅」と書かれている。時刻表などでは「.hl」と略して書いてある。
僕は旅行に一眼レフと、SMENAというロシア製のカメラ(見た目はおもちゃだけどすごくキレイに写る)を持っていった。フィルムは30本ほど。デジカメは無い。
つまり、現像したあと、スキャナで取り込み加工してという作業がすごく面倒だったのだ(小声)。未だに資金が無くてプリントしてないフィルムもある。
この旅は写真旅行でもあったのだ。一眼レフは重かったが、デジカメよりもおもしろい写真が撮れるので絶対持っていきたかった。そして、毎日のように携帯して写真を撮っていた。
チェコに来て一番見たかったものの一つが「コストニツェ(Kostnici)」。日本では「墓地教会」と呼ばれている。なんだ墓地教会って?って思った方、いいリアクションだねえ。もうちょっと待ってね。
++
首都プラハから列車で約55分。コリーン経由でクトナー・ホラという駅で下車。ちなみに、クトナー・ホラ駅は二つあり、一つはクトナー・ホラ・フラヴニー(Kutna hora hl)駅、そしてクトナー・ホラ・ムニュエスト駅である(※注1)。
コストニツェが近いのはフラヴニー駅の方。もう一方の駅は、クトナーホラもう一つの名所聖バルバラ大聖堂が近いらしいが、それは見てない(普通はそっち行くのかもしれん)。
駅を出るととすぐに案内版があり、それをたどって行くと見事に迷わずコストニツェにまで誘導してくれた。普通の町並みに現れたスッと立っているこじんまりとした教会。教会の周りは墓地でぐるりと囲まれている。え?だから墓地教会?甘い。入ろうとすると、ちょうど団体が入るとこだったので、時間をずらす事にした。
町並みを散歩する。クトナー・ホラはちょっと最近がんばってる田舎町と行った感じ。森や原っぱが多く町並みは普通のかわいい田舎の家だが、ちょっと外れると、でかいスーパーもあるし、道路も発達している。音楽ガンガンかけながら家建ててる大工さん。静かな町なのでよけいうるさい。歩いていると裏手にはサッカーグラウンド。あいにく誰もいなかったが、土手の芝生に座ってくつろぐ。それにしても今日はいい天気だ。
スッキリしたところで、そろそろいいかなと思い、教会の方に戻る。教会の向かいは売店&レストランだが、そんなに入りたくなる感じではない。勝手に敷地内に入ってブラブラしてると、すごく朽ち欠けている物置小屋。味出まくり。うおおお写真とりたい。でもまあ、今日はフィルム二本しか持ってないし、教会のあとで写真とればいいか。。。と思ったのがこの日の過ちであった。
墓地の間を通り、いざ教会内部へ。値段は30ck(チェコ・コルナ。約120円)そして、写真をとるには別料金を払わなければならない。15ck(約60円)。
受付はおばちゃんと、高校生くらいの女の子。英語を喋る客にはこの女の子が応対する。たぶんおばちゃんが英語できないから助っ人なのだろう。「あなたは中国人?」と聞かれたので、日本人だと答えると、日本語で書かれた手作りの案内をくれる。びっくりした。チェコで日本語など、日本料理屋以外で見てなかったからだ。どの名所も英語かスペイン語の案内どまりであったし、この小さな名所がそんなサービスしてくれるとは。しかもその文章が非常にきれいな日本語だったのにも驚いた。
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ヒンヤリとした空気に暗い照明。階段を降りるうちに、僕の感動は頂点に達した。
骨・骨・骨!英語でいうとボーン・ボーン・ボーン!中国人がみたらコツ・コツ・コツ!である。

【写真:人骨鐘】
この教会の内部には、大量の人間の骨を集めて作られたオブジェが、壁から天井からいたるところに見事に飾られているのである。その数約40万本(4万人分だったかもしれん)。骨で作られた鐘、骨で作られた燭台、骨で作られた紋章、、、そしてそして、骨で作られたシャンデリア。。。

【写真:人骨シャンデリア】
不思議と怖くない。怖くないが、なんというか圧巻である。僕も写真ではずっと知っていたが実際にこの目で見てみるとニンともカンとも。こんなに大量の人間の骨が墓地に埋葬されずにオブジェとなっているのだ。いや、こうすることがある意味埋葬なのかもしれない。生きている人間に何かメッセージを送っているような気がする。これらの骨は、戦争や疫病で大量に死んだ人の骨も含まれているという。16世紀初頭、初めてこの骨を組み立てた僧侶の言葉が頭をよぎる。「MEMENTO MORI (死を思え)」
僕は30分ほど骨の一部一部を眺め、ようやくカメラに収めたい気持ちになった。
窓からの自然光を入れて、露光時間を長めにすればノンフラッシュでいい感じで撮れそうである。1枚、2枚と撮っていく。
さあ、5枚目を取ろうと思った瞬間。
「・・・」
カメラ沈黙。僕も沈黙。
おかしい。シャッターが下りない。電源はついたまま。でも電源が切れない。ウンともスンとも言わない。
ウンウン言ってるのは僕だけである。電源はついたままで完全にカメラが動かなくなってしまった。。。
電池が切れたのかもしれない → 全くまだまだ使える電池だった
電源ついたままで切れない → 電池切れたんなら電源切れるやろ
フィルムが無くなった → あと10枚は撮れる
カメラが壊れた → うそん。マジ?
バチがあたったのかもしれない → そうかもしれない。。。
実はさっき教会裏のサッカーグラウンドで急にもよおしてしまい、土手でタチチョンをしたのだ。。。
絶対それが悪かったに違いない(気づかなかった君は、教会に戻る時のシーンをもう一度見てみよう!)。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいと心で謝りながら僕は教会を出た。
プラハに帰るとまだ4時くらいだった。結局とれた写真は4枚。まあ目に焼きつけたし、またチェコに来た時に必ず行こう。今日はもうおとなしくしてようと宿に帰り、ふと思い立ってカメラの電池を新品に換えた。動き出した。。。
いや、本当にまだまだ使える電池だったのよ。。。
※注1
チェコの鉄道の駅は、同じ名前のあとに「ほにゃらら」がつく事が多い。
例えば、首都プラハと名前がつく駅だけでも「プラハ・フラヴニー」「プラハ・ホレショヴィツェ」「プラハ・マサリコフォ」などとめちゃくちゃある。他の国から電車で来る時や、行く時はその方面によって発着する駅が違うので注意。
フラヴニーとは「中心の」という意味で、「歩き方」などには「クトナー・ホラ本駅」と書かれている。時刻表などでは「.hl」と略して書いてある。
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