だからイトウだ
24日、僕の誕生日だった。
その前日、友人のお葬式に行ったので、それどころじゃなかったがだいぶ落ち着いてきた。
彼ともっと親しかった人は、きっとまだ落ち着いていないだろう。
僕はその人に話す言葉を持っていない。何も言ってあげられない。
だから誕生日というキーワードで思い出した、全く関係無いことを書く。
中学の時、イトウ先生という新人の先生がいた。
理科の先生っぽくヒョロッと色白で、頼りなさそうな男の先生だった。
イトウ先生は、最初の授業で緊張しすぎてロボットみたいになった声でこう言った。
「イトウだ。よろしく。僕の誕生日は1月10日、だからイトウだ。」
おい先生、「だから」じゃないだろうと思った。かといって、「そして」でも「つまり」でもおかしいから、やはり「だから」で合ってたのかもしれない。
イトウ先生は、まだガキの僕達には頼りなかったが、友達のような感覚があった。彼は理科の授業でもその頼りなさを発揮していた。
水で満たされたフラスコに気体を発生させ、その気体中に火のついたマッチ棒を入れたらどうなるかという実験を、彼が実演した。その発生した気体は二酸化炭素で、マッチの火は容器の中で消えてしまう、というのがその実験結果だ。
「みんな、よく見ておくように。それじゃあ、マッチの火を入れるよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
おかしい、火が消えない。いくら待っても消えない。おそらく、二酸化炭素は空気中に逃げてしまったのだろう。
理科では初歩中の初歩であるこの実験を彼は失敗した。
先生は沈黙したままで固まっている。僕たちは固唾を飲んで先生の言葉を待った。
やがてイトウ先生は何を思ったのか、そのマッチをフラスコの水にジュッとつけてこう言った。
「・・・ほら、消えた」
クラス全員で「おい!」と突っ込んだのは言うまでも無い。
イトウ先生は頼りなかった。でも、こんな先生はいた方が学校は面白い。
その前日、友人のお葬式に行ったので、それどころじゃなかったがだいぶ落ち着いてきた。
彼ともっと親しかった人は、きっとまだ落ち着いていないだろう。
僕はその人に話す言葉を持っていない。何も言ってあげられない。
だから誕生日というキーワードで思い出した、全く関係無いことを書く。
中学の時、イトウ先生という新人の先生がいた。
理科の先生っぽくヒョロッと色白で、頼りなさそうな男の先生だった。
イトウ先生は、最初の授業で緊張しすぎてロボットみたいになった声でこう言った。
「イトウだ。よろしく。僕の誕生日は1月10日、だからイトウだ。」
おい先生、「だから」じゃないだろうと思った。かといって、「そして」でも「つまり」でもおかしいから、やはり「だから」で合ってたのかもしれない。
イトウ先生は、まだガキの僕達には頼りなかったが、友達のような感覚があった。彼は理科の授業でもその頼りなさを発揮していた。
水で満たされたフラスコに気体を発生させ、その気体中に火のついたマッチ棒を入れたらどうなるかという実験を、彼が実演した。その発生した気体は二酸化炭素で、マッチの火は容器の中で消えてしまう、というのがその実験結果だ。
「みんな、よく見ておくように。それじゃあ、マッチの火を入れるよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
おかしい、火が消えない。いくら待っても消えない。おそらく、二酸化炭素は空気中に逃げてしまったのだろう。
理科では初歩中の初歩であるこの実験を彼は失敗した。
先生は沈黙したままで固まっている。僕たちは固唾を飲んで先生の言葉を待った。
やがてイトウ先生は何を思ったのか、そのマッチをフラスコの水にジュッとつけてこう言った。
「・・・ほら、消えた」
クラス全員で「おい!」と突っ込んだのは言うまでも無い。
イトウ先生は頼りなかった。でも、こんな先生はいた方が学校は面白い。
- [2005/08/28 19:19]
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